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スウェーデン交流センター

2004年10月2日(水)から10月23日(土)の間、石狩川と石狩湾を見下ろす丘の スウェーデン交流センターで、

「スウェーデンウールのある生活」

と題する展示会を開催しました。厳しい冬を 暖かくすごすために必要な、ウール(WOOL・羊毛) についてです。
肌ざわりがよい

素肌に身につけることができる

よごれにくいので洗う必要がない

手入れは風にあてるだけでよい

こんなウールのあることを、ご存知ですか?
ウール製品

ご紹介するウールは、スウェーデン製です。羊毛産業はかつて 北海道にもありましたが、現在はありません。将来、北海道でも、このような 質の良いウールを生産できることを願っています。北海道には、広い大地に 牧場があり、羊が飼われているし、冬の寒さは厳しいのですから。

スウェーデン交流センターでの展示内容を、このWEB上でも紹介させていただきます。 でも、本当は、多くの方に展示会場に足を運んでいただいて、見て触って、 本物のウールの素晴らしさを感じていただきたいのです。 文字や写真だけでは、手触りの感触は得られませんから。


スウェーデンウールのある生活

紅葉

ようこそ、美しい秋のスウェーデン交流センターへおいでいただき、 ありがとうございます。スウェーデンウールを紹介させていただきます。

スウェーデンと北海道は、冬の厳しさを含め、 気候の面で似たところがあります。スウェーデンウールは品質に優れており、 北海道の人々の生活に役立ちます。

ウールを知らない人はいないでしょう。チクチクするから、 肌に直接身に着けない方がいいと思っている人が多いでしょう。 でも、違うのです。上質なウールは、肌に優しく気持ちがよいのです。 汚れもつきにくく、洗う必要もありません。

手入れは、 風にあてるだけで、ウールはきれいになります。年配の方のうちには、 そういえば、昔はそうだったと、思い当たるかたもいらっしゃるでしょう。 ウールの優れた性質を具体的に紹介し、生活にどのように取り入れるかを 提案させていただきます。

北海道

北海道には広い大地があり、羊も飼われています。 道内各地に手紡ぎや手織りのグループがありますが、 ウール産業はありません。北海道の冬の厳しさには、 ウールが必要なのに。

品質よりも安価であることを優先して、作られた製品が多く出回っています。 それらにも利点はありますが、それだけでは、豊かな生活は望めないでしょう。

北海道の大地で、羊を飼う人、毛を刈る人、糸を紡ぐ人、織る人、 服を縫う人または編む人、そして、それを着る人、北海道に住む人みんなが、 豊かで幸せになれるように、みんなで考える時がきているように思います。


きぬがさマテリアルズ
オステルヨートランド羊毛紡績
スウェーデン交流センター

スウェーデンウールの意味

ニュージーランドやオーストラリアから、大量のウール製品が輸入されています。 この展示で、スウェーデンウールをご紹介する理由は次の2つです。

この展示で紹介するスウェーデンウールは、夫婦二人で経営する 紡績工場で作られています。ご主人が毛糸や毛布など製造をほとんど 一人でおこない、婦人がデザインと営業を担当しています。 毛糸づくりも、ウール製品のデザインも、高い品質を維持することを 大事にしています。大量生産はできませんが、良いものを作り、 必要とする人に手渡しするというスタイルです。

北海道にも、このようなウールの紡績工場ができたらと思います。 この工場は周辺地域の人々に良いウール製品を提供し、 人々はこの工場のことを頼りに思いながら、 編物などの手作りで生活を整えて暮らしている。 これは、かなわない夢でしょうか。



ウールの性質

ウールは、細い繊維がからみあっていて、空気を多く含んでいます。 そのためウールには保温と保湿機能に優れています。この 2つの機能が、人間の体温調節の仕組みと深い関係があります。

大人と子供で少し差がありますが、人の体温はだいたい36℃くらいですね。 体温は一定に保たれていて、余分な熱は身体の外に捨てられます。 皮膚からはたえず水分が放出されていて、この水分が蒸発するときの 気化熱として、身体から熱が取り去られます。湿度が高いときは蒸発 の割合が減少し、身体の冷却がうまくいかないので不快感が高まります。

一方、気温が低い時は身体の冷却が進みすぎるので、寒気を感じます。 防寒用の衣服や暖房を使用して、冷却しすぎないように調節する必要 があるのです。つまり、暖房が必要な場合でも、 身体は冷却を必要としているのです。

体温調節のための熱と水分の両方をうまく処理することができなければ、 蒸し暑いとか冷たいといった不都合が生じます。 快適さは得られません。ウールの特性である保温と保湿機能は、 皮膚からでる熱と水分の両方を調節してくれます。そのため、 ウールを身につけると、暖かく快適にすごすことができるのです。

羊毛の繊維には脂分があり、水をはじく性質(撥水性)があります。 また、この脂分があるために、よごれがつきにくいので、洗う必要が ありません。手入れの方法は、湿度の高い日に、風にあてるだけです。 ウールの繊維自身が、よごれを押し出してくれます。

ウールを水につけると、繊維のからむ度合いが増して縮みます。 フエルト化してゆきます。水洗いできるように加工されたウールも ありますが、ウール本来の性質が失われている可能性があります。

ウールの性質をまとめると、つぎのようになります。



スウェーデンのウール産業

今から20年ほど前、スウェーデン国内にウールの紡績工場は、 200くらいあったといわれています。その後、だんだんと数が減ってゆき、 今残っているのは、わずかに3つといわれています。編みものをする人が減り、 毛糸が売れなくなったのが、主な原因と考えられています。 化学繊維の増加や、海外からの安い製品の流入などもあり、 ウールをとりまく情勢は、日本と同じようです。 そのなかで、いまでも生き残っているウールの紡績工場は、 品質の面で妥協をしなかったところだけのようです。



オステルヨートランド羊毛紡績

展示のウール製品は、スウェーデンの中部オステルヨートランド県にある、 オステルヨートランド羊毛紡績のものです。

オステルヨートランド羊毛紡績 オステルヨートランド羊毛紡績

オステルヨートランド羊毛紡績は、1981年に創業しました。 90年代前半には毛糸が売れなくなり、ジャカード織機を手に入れ、 毛布やウール生地などの織物を始めました。また、ニット工場に 毛糸を持ち込み、帽子やくつ下、セーターなどのニット製品の製造 を外注しています。




オステルヨートランド羊毛紡績の毛糸の特徴

原毛

オステルヨートランド羊毛紡績がつくる毛糸は、良質の材料(原毛) だけを使い、適度な脂分を残すことにより、保温性、保湿性、 よごれのつきにくさ、肌触りのよさ、などウール本来の性質を最大限 に発揮できるよう、細心の注意が払われています。肌触りがよいので、 肌に直接身につけることが可能です。よごれの心配も不要です。
ジェニーの紡績機 オステルヨートランド羊毛紡績では、ジェニーの紡績機 (Spinning Jenny)を使用しています。ジェニーの紡績機は、 時間をかけてしっかりと撚りをかけることができます。 1900年ころに製造された、ジェニーの紡績機は1764年に ジェームズ・ハーグリーブスにより発明され、 産業革命のはじまりといわれています。


全毛糸

オステルヨートランド羊毛紡績と日本との関わり

オステルヨートランド羊毛紡績の製品は、1997年に日本に初めて紹介されて 以来、いまや日本にたくさん輸入されています。

1997年
東京・浜松町 日本産業デザイン振興会"スウェーデン・グッドデザイン"展
2000年
東京・六本木 スウェーデン大使館展示ホール  テキスタイルアート展"いつでもウール"
東京、大阪 毛糸だま編集部主催"スウェーデンの伝統クラフトセミナー"
雑誌NHKおしゃれ工房11月号 スウェーデンウール〜服と小物〜
2001年
東京・渋谷 ぎゃらりい おくむら"スウェーデンウールのぬくもり"展
雑誌毛糸だま秋号 クリエイティブな編み物がしたい!
雑誌NHKおしゃれ工房12月号 スウェーデンからの贈り物
2002年
雑誌毛糸だま冬号 マリア・グルバリーさんと広瀬光治さんのニット対談
雑誌NHKおしゃれ工房11月号 スウェーデンハンドワーク便り
東京・渋谷 ぎゃらりい おくむら"ウールのある暮らし"展
2003年
北海道 仙台 東京 名古屋 大阪 福岡 日本編物文化協会主催 セミナー"スウェーデンのグラフィカルニット"
2004年
東京・渋谷 ぎゃらりい おくむら "スウェーデンウール"展(4月)
東京・六本木 スウェーデン大使館展示ホール"DoRedo"展(11月)

このほか、いくつかの雑誌に、羊の毛布などが取り上げられています。

LEE 2002年11月号 
雨宮塔子さん北欧に雑貨を買いに行く
北欧スタイル2004年Spring号 
この人が選ぶ北欧デザイン
リンカラン2004年9月号 
ヨーロピアン・ジャパニーズの国、北欧


毛糸がどのように作られるか


カード機 カード機カード機

羊の毛布

羊の毛布

羊の毛布は、オステルヨートランド羊毛紡績のウッラ・カーリンのデザインです。 良質の原毛だけを使用して作られた2色の毛糸を、ジャカード織機で織ったものです。 毛糸には適度の脂分が残されており、ウール繊維の良さが活かされて、保温性・保湿性 に優れた毛布として仕上がっています。この毛布は身体から放出される熱と水分を うまく調節してくれるので、気持ちよく眠ることができます。特に病人や高齢の方など、 身体が弱っている人にお勧めします。また、病気ではないけれども、睡眠がうまく とれない人にもお勧めします。もちろん、良い睡眠はどんな人にも必要ですから、 老若男女を問わず、どなたにも使っていただきたい毛布です。 羊の毛布の材料は良質の原毛だけを使用しているので、肌に優しくチクチクしません。 脂分が残してあり、しっとりとした肌触りが良いのが特徴です。よごれがつきにくいので、 肌に直接ふれるようにお使いください。

お手入れは、風にあてるだけでよいです。水洗いは必要ありません。 もし、水につけると、フエルト化が進み縮んでしまいます。ドライクリーニング では縮みませんが、よごれが内部にしみこんだり、毛糸の脂分が落ちてしまいますので、 風合いが変わってしまいます。ドライクリーニングもしないほうがよいでしょう。

羊の毛布は1994年に、スウェーデンの優れたデザインに与えられる、 スヴェンスクフォルム賞(SVENSK FORM)を受賞しています。

羊の毛布は、大小の2サイズがあります。大きいほうは普通のベッド用で、 サイズは幅135cm、長さ215cmです。小さいほうは、子供用またはひざ掛け用のもので、 幅73cm、長さ100cmです。色は、赤、青、黒、グレー、茶などがあります。各色とも、 白との組み合わせになっています。たとえば赤の場合、赤地に白い羊の模様、 その裏側は白地に赤い羊の模様となっています。

羊の毛布のほかに、チェス格子の毛布や、縦縞の毛布があります。模様が異なるだけで、 材質や製法は羊の毛布と同じですから、肌触りや機能性はまったく同じです。 縦縞の毛布は、羊の毛布が受賞した翌年の1995年に、スヴェンスクフォルム賞を 受賞しています。羊の毛布は、1997年に東京で行われた 「スウェーデン・グッドデザイン」という展示会で、はじめて日本に紹介されました。



ペルスウール・ソックス

ソックス

オステルヨートランド羊毛紡績のペルスウールソックスは、ウール100%の毛糸で 編まれており、保温性・保湿性に優れています。ウール100%なので、弱いと 思われがちですが、擦り切れに強く耐久性があります。それは、毛足の長い原毛 (ペルスウールと呼ばれます)に、強く撚りをかけて非常に細い毛糸を使用して いるからです。毛糸には適度な脂分が残してあるので、よごれがつきにくく、 においもつきません。使い始めはすこし硬く感じますが、2,3日もすると、 柔らかくなって肌になじむようになります。素足に着用するのが、保温性を 最大限にひきだせます。綿や化繊混じりのソックスの上に重ねて着用した場合、 内側の綿を含むソックスに水分がたまります。この水分が冷たさの原因となり、 暖かさを損なうことになります。

ペルスウールソックスの手入れは、毛布と同じように、風にあてるだけです。 水洗いの必要はありません。1~2週間はきつづけると、ほこりや皮膚からでた 塩分などがたまり、粉っぽくなります。風にあてることで、よごれがとれて、 新品のようになります。

このペルスウールソックスは、つぎのような、特に防寒性を必要とする人々に 使っていただきたいと思います。

ウール100%なのに、耐久性があるとか、洗わなくてもよいとか、 日本人のウールについての常識がくつがえることばかりです。 実際につかってみると、ほんとうのウールとはこういうものなのだと 理解できるようになります。



セーターとカーディガン

(1)セーター(イギリスゴム編み、紳士用)

セーター

良質の原毛から作られた細い毛糸を、スウェーデンのニット専門工場で 機械編みされたセーターです。デザインは、オステルヨートランド羊毛紡績 のデザイナー、アン‐マリー・ニルソン(ANN-MARI NILSON)です。 身頃、袖とも、一目ゴム編み(スウェーデンではイギリスゴム編みと いうようです)になっています。毛糸には脂分が残されており、 ウール繊維の特徴である、保温性・保湿性・撥水性に優れています。 よごれはつきにくく、洗う必要がありません。お手入れは風にあてるだけです。 色はグレーのみで、ラウンドネックのオーソドックスなセーターです。 袖口と裾は細くなっており、寒気を防ぎます。丈もたっぷりあり、 身長の高い人でも大丈夫です。このセーターがあれば、厳しい冬を 暖かくすごすことができます。


(2)プルオーバー"グレーストーン"(グレー、女性用、サイズL)

グレーストーン

女性用のプルオーバー(セーター)で、紳士用のセーターと同じ毛糸で 編まれています。デザインは、オステルヨートランド羊毛紡績のデザイナー、 ウッラ‐カーリン・ヘルステン(ULLA-KARIN HELSTEN)です。 身頃と袖は平編みで、袖口や裾は折り返してあります。 オーソドックスなラウンドネックに、細い幅の一目ゴム編みと平編みの パーツを縫い付けて厚みをもたせてあります。


(3)カーディガン "ウィング" (裾模様編み、オンブレナチュラル、女性用、サイズM)

ウィング

裾に模様編みのある女性用のカーディガンです。白〜グレーに色の 濃淡のある毛糸を使用しています。デザインは、ウッラ‐カーリン・ヘルステン です。身頃と袖は平編みで、袖口や裾は折り返してあります。 首周りと前立ての縁は、細い幅の一目ゴム編みと平編みのパーツを 縫い付けて厚みをもたせてあります。毛糸に脂分が残してあることや、 手入れの仕方も同じです。


(4)セーター "ウィング" (裾模様編み、オンブレナチュラル、女性用、サイズS)

ウィング

裾に模様編みのある女性用のセーターです。カーディガンと同じ毛糸を 使用しています。デザインは、ウッラ‐カーリン・ヘルステンです。 身頃と袖は平編みで、袖口や裾は折り返してあります。ラウンドネックに、 細い幅の一目ゴム編みと平編みのパーツを縫い付けて厚みをもたせてあります。


(5)マフラー(格子模様編み、オンブレナチュラル、幅約28cm長さ約170cm)

マフラー

1cmくらいの大きさの格子模様が編まれたマフラーです。 セーターやカーディガンのウィングと同じ毛糸、 オンブレナチュラルを使用しています。



セーターやカーディガンをご希望の方は、こちらをお読みください

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