オステルヨートランド羊毛紡績の毛糸

毛糸の太さ

 オステルヨートランド羊毛紡績は、3種類の太さの毛糸 を製造しています。
  • ペルスウール (太さ: 極細)
  • ヴィシュ毛糸 (太さ: 中細〜合太)
  • DoRedo(デュレデュ)毛糸 (太さ: 並太)

 下の写真に、
ペルスウール(#64 ナチュラル)、ヴィシュ毛糸(#4 グレー)、DoRedo毛糸(#92 グレー)を並べてあります。太さの違いがよく分かると思います。

3種類の太さの毛糸


 ペルスウールは「極細」の毛糸です。細い2本の単糸がより合わせてあります。モヘアのような、毛羽がありま す。色のバリエーションとして、13色あります。

 ヴィシュ毛糸は、昔からの手編み用につくられた毛糸です。2本の単糸がよりあわせてあり、太さは「中細〜合 太」です。ヴィシュ毛糸には、次に示す色のバリエーションがあります。
  • 単色の毛糸 (27色)
  • オンブレ(ぼかし染め)毛糸 (5色)
  • 多色染めの毛糸 (12種類)
 ヴィシュ毛糸のうち、単色の毛糸とオンブレは「中細」ですが、多色染めの毛糸は、やや太めに仕上がっていることが多く、「合 太」があてはまるようです。

 DoRedo毛糸は、ヴィシュ毛糸とほぼ同じ太さの単糸を4本よりあわせてあり、ヴィシュ毛糸の倍の太さです。「並太」があてはまります。


ヴィシュ毛糸のゲージ

 ヴィシュ毛糸のゲージの一例を示します。

       使用針: 棒針 4号
       毛糸: #35 セリア薄青

       10cm x 10cm の目数と段数: 23.5目 34段

 大きめに編んで、白い糸で10cm角の正方形を2つ設定し、平均してあります。編んだ後、蒸気アイロンをかけ、編地を安定させています。

ヴィシュ毛糸のゲージ

 オステルヨートランド羊毛紡績の毛糸は、太さにばらつきがありますので、ここで示したゲージは目安としてご覧ください。

毛糸の染色について

 オステルヨートランド羊毛紡績の毛糸は、染色の面か ら、次のように分類されます。
  • 染色していないナチュラルな毛糸
  • 化学染料で染色してある毛糸
 染色していない毛糸は、次のとおりです。
  • ヴィシュ毛糸(単色)    #1 白、#2 ホワイトグレー、#3 ライトグレー、#4 グレー、#5 濃いグレー 
  • ヴィシュ毛糸(オンブレ) #19 オンブレナチュラル
  • ペルスウール       #64 ナチュラル
  • DoRedo毛糸        #92 グレー
 アレルギーなど、染料が気になる方は、染色していない毛糸を選ぶことができます。

natural yarns



毛糸の作り方
 ヴィシュ毛糸のうち、単色の毛糸は27色あります。そのう ち、染色していないナチュラルな毛糸は、#1白〜#5濃いグレーの5種類です。 白い原毛とグレーの原毛を、一定の割合で混ぜて、グレーのバリエーションをつくります。残りの22種類は、#1白の毛糸を化学染料で染色してつくります。

毛糸の作り方
毛糸の作り方2

 ヴィシュ毛糸のうち、オンブレ(ぼかし染め)毛糸は5種類あります。白い原毛とグレーの原毛を、まだらに混ぜて、#19オンブレナチュラ ルを作ります。#19オンブレナチュラルは、染色していない、ナチュラルな毛糸です。#19オンブレナチュラルに染色して、#18オンブレレッド、#20 オンブレローズ、#21オンブレブルー、#22オンブレグリーンをつくります。



毛糸の作り方3

 多色染め毛糸は、原毛の段階で染色し、各色の原毛を周期的に混ぜてつくります。



毛糸の作り方4
 ペルスウールは、まず染色していない#64ナチュラルをつくります。残りの12色のペルスウールは、#64ナチュラルに染料 をかけてつくります。#64ナチュラルの色はグレーなので、染色してあるペルスウールは暗い色調のものが多くなっています。


毛糸の製造工程

wool mill オステルヨートランド羊毛紡績の工場は、森のなかの開け た牧草地の一角にあります。
1階は工場、2階(3角屋根の部分)はショップとギャラリーになっています。
wool mill
ほぐした原毛をカード機に供給するところです。

作業をしているのは、オステルヨートランド羊毛紡績の経営者の一人である、ボリエ・ノルバリー氏です。

写真では、白い原毛が写っています。多色染めの毛糸を作る場合は、あらかじめ染めておいた複数色の原毛を、一定の割合で順次供給することで色の変化をつけ てゆきます。

ボリエ・ノルバリー氏は、コンピュータ制御の機会を好まず、旧式の機械を使っています。経験と勘が活きる、毛糸づくりとなっています。
wool mill
カード機には、円筒形のローラーがたくさんセットされて います。ローラーの表面には、びっしりと針が植え込まれています。回転しているローラーに、少しずつ原毛が送られ、繊維の方向がそろっていきます。

オステルヨートランド羊毛紡績では、3台のカード機を使用しています。



wool mill 1台目のカード機で繊維の方向がそろえられた原毛は、渡 り廊下のような経路をとおり、次のカード機へ送られます。
wool mill 原毛が2台目のカード機に着いたところ。
wool mill
すこしずつ重なり、ふわふわの綿のようです
wool mill
ふわふわの綿のような原毛は、次のカード機にかかりま す。繊維の方向は、直交する方向にそろえられます。

カード機を3台直列にとおすのは、厚みを均一にするためです。最終的にできあがる毛糸の太さは、このふわふわの原毛の厚みにより決まっ
て きます。
wool mill
3台のカード機をとおってきた原毛は、分けられて巻き取 られます。
wool mill
巻き取られた原毛は、ジェニーの紡績機で、撚りをかけら れて糸になります。

ジェニーの紡績機は、1764年頃、ジェームス・ハーグリーブスが開発し、多くは木製です。オステルヨートランド羊毛紡績のジェニー機は、19世紀末に製 造されたもので、金属が使われています。

ジェニーの紡績機は、熟練を要する機械であり、ゆっくりと時間をかけて撚りをかけます。あえて能率の悪い機械を使う理由は、しっかりと撚りをかけることに あります。
wool
使用している原毛。Fine wool という品質のもの。
Jacqard loom
ジャガード織り機で羊の毛布を織っているところ。
模様は木製のパンチカードで定義されます。
この織り機も、19世紀末に製造された古いものです。

工場の周辺 周りは牧草地になっており、羊が飼われています。


ショップとギャラリー

工場の2階、三角屋根の部分がショップとギャラリーになっています。
 毛糸や毛布を購入できます。ニットデザイナの作品は展示のみです。
ショップ内部
2階ショップ内部の毛糸棚
ショップ内部
赤は、バラのカーディガン
下段はスミレの花をイメージしたセーターとカーディガン
(デザイン:インゲラ・バーツソン)
ショップ内部
階段上部に、カタリナ・ブリディティスのセーターが
展示されています(Lust att Sticka 掲載)

wool mill
アコーディオン編みのベレー帽と
アコーディオン編みのロングミトンなど
(デザイン:エッバ・ストールハンドスケ)
ショップ内部
左端は、オンブレレッドのセーター
右上は、牛の柄のセーター(デザイン:ブリット・マリー)
中央は、セーター”スター”(デザイン:シャスティン・オルソン)
ショップ内部
右端より、ウッラ・カーリンのルーン文字のセーター、
ウッラ・カーリンのセーター”プロセス”、Ulla Tagesson の
カーディガン”IDA”、オンブレナチュラルのセーター

ショップ内部
手前の3点は、カタリナ・ブリディティスの作品
(Lust att Sticka 掲載)

ショップ内部
カタリナ・ブリディティスのセーター3点
上の2点は、白樺編みセーター、下はフードつきセーター


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